読書感想「まわるドーナツと金曜日」1

かわうその自転車屋さん」「くるくる自転車ライフ」で自転車乗りの心を掴んだこやまけいこさんの最新作。

「くるくる自転車ライフ」や妖怪との共生を描いた「鍋猫スターハウス」は1巻完結でしたが、「かわうその自転車屋さん」は約8年間にわたり、10巻が描かれた作品。
もはや、押しも押されぬこやまさんの代表作であろう。

その「かわうその自転車屋さん」は主人公のかわうそ店長以下登場するのは全部動物で、人間は一切出てこない。
そのため、「人間の描き方を忘れた」と何かの時にこやまさんが発言されていたのを覚えている。
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そして、今回の「まわるドーナツと金曜日」、これは人間と擬人化された動物が共存する世界。
「親戚に青森の人がいて」というセリフが有ったり、最初に出てくる登場動物が犬の戌井さんだったり、どうやら舞台は日本。

でも、1巻の主人公は黒猫の黒鉄。
恩義のある出身幼稚園の園長との約束を守るためにおそらく10年以上の板前の修業をして、育った町に帰ってきた。

しかし、園長は意外にノープランだった。
送迎バスを改造したキッチンカーを用意しただけで、これで中学生の園長の孫とドーナツ屋をやれという。

え、ドーナツ屋?板前の修業をしてきたのですが、、、、

それでもドーナツを研究するなど、ドーナツ屋開業に向けて動き出し、意外と頼りになる園長の孫との信頼関係も築いていく。

しかし、1話冒頭の4つのコマでドーナツをつくっているところを見せながら、「その起源は16世紀のオランダで、、、」とドーナツの解説を始めたところで、私はニヤリとしてしまいましたよ。

「かわうその自転車屋さん」でも、「鍋猫スターハウス」でも、美味しそうな料理がたくさん出てくるのですよ。
この作品も最初のページで「わぁ、こやまさんお得意のグルメ漫画だぁ(ちがう)」と思いましたw

この作品に限らず、こやまさんに限らず、漫画や小説を書く人って勉強熱心ですよね。
ドーナツの作り方、営業許可やキッチンカーのことなどをすごく詳しく調べられていて、「かわうその自転車屋さん」読むと自転車の勉強になったように、この作品を読むと、キッチンカーでドーナツ売れるようになると思いますw

あと、もう一つすごいなと思ったのは、1話の主人公戌井さんが黒鉄達を見かけるところから物語は始まるのだけど、そこから2話で少し時間が戻り、1巻最終話で時間がループする。
ちゃんと何話でここまで話を持ってくるって計算して描かれているんですねぇ。

1巻ではいくつか伏線が仕掛けられていて、黒鉄の園長からの恩義とは何なのか、戌井と黒鉄たちはこれからどう絡んでいくのか。
戌井も自己肯定感の低いところから黒鉄たちとの絡みでどう変わっていくのかも楽しみ。

2巻、有りますよね!有りますよね!

黒猫の黒鉄、私の頭の中では山寺宏一さんのゾロリを少し落ち着かせたような声でしたw

園長の奥さん、2年ほど前にこやまけいこさんの個展に伺った時にお会いしたこやまさんに似ている気がするのですが、、、
こやまさんのご年齢よりも高い年齢設定とは思うのですが、もしかして、ご自身がモデル?
すっとぼけた園長に対してしっかりした奥さん。
ツッコミ役ですね。

そういえば、個展のときにも人間と擬人化された動物が一緒にいるようなイラストが飾られていました。
あれが巡り巡って「まわるドーナツと金曜日」になったのだろうか。

まわるドーナツと金曜日 1巻 (芳文社コミックス) - こやまけいこ
まわるドーナツと金曜日 1巻 (芳文社コミックス) - こやまけいこ

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