映画感想「機動戦士ガンダム #ククルス・ドアンの島 」感想(ネタバレあり)
この記事には2022年6月3日公開 「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」 のストーリーに関わることが書かれています。
ネタバレを気にされる方はお読みにならないことをおすすめします。
(ネタバレなしの感想はこちら。)
と言うか、すでにご覧になった方に向けた内容となっています。
ネタバレ注意
私は映画館で1度見て、帰ってきてBlu-rayをオーディオコメンタリーも含めると5回見ました。
TV版ももう一度見直しました。
ドアンの過去に触れる形でサザンクロス隊なんてものも出してきてMSアクションも多めにしてきましたが、結局見せたかったのはドアンのザクを海中に放り込むシーンだったのかもしれません。
平和への強い祈り。
それが今回の映画のテーマだと私は受け取りました。
実際問題、このタイミングでザクを失うことがドアンたちの平安に役立つのか、「戦争の匂い」ってなんだよって言うところはありますが、武装することで平和を得ようとするのではなく、戦わない意思を見せることが大切と言いたいのだと思います。
スタッフロールのバックの絵のドアンの表情がそれを物語っていると感じました。
その辺のお父さんのような穏やかな顔をしていました。
冒頭で明後日フリアンの誕生日と言う伏線を仕掛けておき、吊り上げたシイラを誕生会のごちそうにしようと言うことで記憶を喚起し、スタッフロール後の絵。
泣けますね。
森口博子さんの「Ubugoe」もそれに一役買っています。
この歌は最年長の女の子、カーラの心情を歌ったものだそうです。
そうか、だからこの歌い方。
TV版では最年長の女の子はロランと言う名前で、アムロにやや冷たい態度でしたが、カーラは最初からアムロを気遣い、子どもたちにも母親のように接していました。
そんなカーラの母性愛を感じさせるような優しい歌い方を森口博子さんはしています。
森口博子さんは皆さん御存知の通り、Ζガンダムの主題歌「水の星へ愛をこめて」でデビュー。
F91の主題歌「ETERNAL WIND ~ほほえみは光る風の中~」で紅白出場。
最近ではTHE ORIGINの主題歌「宇宙の彼方で」を歌われています。
ファーストリアルタイム世代くらいの方なら、ガンダムファンの我々が育てた歌手かのように思っている方も多いでしょう。
私もΖガンダムをリアルタイムで見ていて、森口さんとはほぼ同い年。
ということでデビュー当時から知っていたわけですが、いつの間にかすごい歌手に成長していたなと言うのが正直な気持ちです。
「Ubugoe」好きな歌の一つになりました。
話をカーラに戻しますが、TV版のロランは寝間着のような服を着ていましたが、カーラの服と同じく、胸のところに花のような模様が2つついた服でした。
そこはオマージュしたのですね。
肝心のドアンですが、映画ではシャアと肩を並べるほど強いという設定になっています。
そのドアンのガンダムとの初接触のシーン。
ガンダムの背後にふわっと現れて襲いかかる。
ホラー映画の手法ですよね。
ドアンのとてつもない強さを表すにはいい表現だと思います。
その直後、アムロの捜索を一旦諦め、カイやジョブ・ジョンに撤収を命じたあとのブライトの魂が抜けたような声「中尉、頼む探しに行ってやってくれ」というのもホラーっぽくて良いです。
島にサザンクロス隊が上陸したあとの登場も、一瞬BGMが消えてランドセルのスラスター音、月バックのドアンザク。
怪物が出てくるときの背筋が凍るような気配を感じたみたいで良いです。
ドアンのアムロに対する態度もTV版とは少し違いますね。
TV版ではロランいわく「青臭いところがとれれば良い兵士になれる」と認めていたようですが、あくまでも兵士として。
どこか、敵とみなしているところが透けて見える態度でした。
それに対して、映画では最初から他の子供達同様、優しく接しています。
アムロがガンダムを探しに行くと言っても、どうぞ行っておいで、何なら帽子と水筒も貸すよって。
まぁ、今の今までかぶっていたおっさんの汗がしみた帽子嫌ですけど、、
水筒もまさか口つけてませんよね、、、w
でも、映画版のほうが大人の余裕みたいなのが見られて好きですね。
ドアンはガンダムを崖下に落とした後、コックピットを開けてきっとパイロットを始末しようとしたのでしょう。
でも、そこに居たのは保護している子供達と変わらないような少年。
それで気が変わって、子供が一人増えたみたいな態度になったのでしょうね。
そんなドアンが初めて見せた厳しい顔が地下のミサイル基地でのこと。
マルコスはガンダムをくれと言い、アムロは返せと言う。
ドアンは「戦うだけが強さじゃない」と言う。
戦うのは自分だけでいいという事でしょうか。
あるいは、最後にザクを沈める事への伏線なのでしょうか。
そして、アムロ救出のためにやってきたカイやハヤトを乗せたガンペリーを見つけると、「殲滅する!」と。
直後、サザンクロス隊も接近していることを知り、アムロも戦うと言いますが、ドアンは
「君はこの子供達のために戦えるか? 君の仲間とでも」
と言います。
これは自分の事を言っていると言う意見もあります。
かつての仲間、サザンクロス隊と戦うのですから。
アムロに対して、これはそういう戦いだと言っているのでしょうね。
ここで、死を覚悟したように子供達に声をかけるのが切ないですね。
サザンクロス隊はファットアンクル2機で来れば良いものをザク2機をルッグンに掴まらせてやってきます。
これもTV版のオマージュでしょうね。
オマージュといえば、現隊長のエグバとの戦いでドアンはザクの右腕を切り落とされた後、岩を投げる。
これもオマージュですね。
スタッフ側から「岩投げないとだめですよ」という意見が出ていたそうですから。
しかし、ホワイトベース隊は結局何もしてませんね、、
ハヤトのガンキャノンは大破。
カイのガンキャノンは両脚切り落とされ、スレッガー中尉は出オチ。
一応ルッグンは2機とも落としたか。
ハヤトはリュウを投げ飛ばすほどの柔道の達人なのに、ヤギのビアンカにはあっさりやられるし、、、
それに対してガンダムを取り返した後のアムロのかっこいいこと。
地下基地でカーテンを取り払われた直後のツインセンサーを光らせるガンダム。
最小の動きでビームサーベルをコックピットに突きつけて発振。
エグバとの最終決戦でも、足場の悪いところで敵の隙きをついての攻撃。
子供達とのんびり暮らしていたアムロとは全然違います。
「お前、すげー強かったんだな。」
生身の敵兵士を踏み潰すのはどうかと思いますが、、、(じゃぁどうすりゃよかったんだ、、)
ドアンの態度で一つよくわからないのが、アムロがバッテリーを繋いじゃった後の「余計なことを」です。
私は、最初、電気を使うような贅沢な生活をさせたくないと言うことだろうかと思ったのですが、電気を使うと目立つからと言うことらしい、、だったら、船で戻ってきた時に慌てて灯台を停めさせるとかしそうなものだが、、
でも、スタッフロールのバックの絵で子供達がアイスを食べているのが有りましたから、結局電気解禁となったのでしょうね。
っていうか、井戸のポンプの動力源は何よ。
電気じゃないの?
その辺疑問に思えよ子供達。(せめてマルコス)
しかし、あの程度のバッテリーで灯台動くかというのも疑問、、、
まぁ、おかしいといえば、アムロがフラフラになりながらたどり着いた火口に子供達は元気に走っていきましたけど、、、
島の子供達はたくましいということか、、、
子供を背負って走ったカイやセイラさんもすごいけど、、、
もう軟弱者じゃないよ。
何度かみているうちに一瞬わからなくなったのですが、ドアンは元々はミサイルを守る役目だったのかなと思ったのですが、そういうわけではなさそうですね。
地底基地に行くときに海に潜るシーンでGMが2機、ザクが1機沈んでいます。
GMは冒頭で倒した2機でしょうか。
ザクはミサイルを守っていた本来の残置諜者のものでしょう。
子供達を連れてこの島に来て残置諜者を倒し、ミサイルを無効にする手立てを考えながら暮らしていたのでしょうね。
とにかく、アムロは「あなたの身体に染み付いた戦争の匂いが敵を引き付けるのではないでしょうか」という結論に達し、ザクを沈める。
ドアンも即座にアムロの考えを理解し、「良いことをした」という。
そして島には平穏が訪れ、フリアンの誕生日会は穏やかに行われる。
いやぁ、良いですよ。
あと、「ドアンとの明日の約束」も良いですね。
日々目標を持たせて生活させる。
素晴らしいことです。
それから、TV版では便利屋さん的な扱いだったジョブ・ジョン。
階級的には准尉のアムロより下になってしまいましたが、元々の軍人として、アムロやカイを率いていい仕事してます。
この映画のジョブ・ジョンはかっこいいです。
元々軍人といえば、この映画では、アムロやセイラさんらサイド7からの現地徴用組は肩のところが白い制服を着ていますが、ブライトやオスカ、マーカー、ジョブ・ジョンなどの元々軍人だった人たちは肩のところが黒く、左腕や左胸に記章を付けた制服を着ています。
なかなか細かいですね。
スレッガーさんの「軍法会議ものいってみる?」ってセリフも好きw
ドアンとの対決の後、灯台の一室で目覚めたアムロの「あつ!」ってのも。
スタッフロールで気づいたところで言うと、ディスプレイデザインの佐山善則さん。
彼の名前を初めて意識したのは機動警察パトレイバーのメカデザインとしてですが、最近はディスプレイデザインとしてアニメーション作品に関わっていることが多いように思います。
ディスプレイデザイン、つまり、MSのコックピット内のディスプレイの表示などのデザインです。
ここがしっかりしているとリアリティが違うのですよね。
実際の飛行機のコックピットなどで見かけるデザインが盛り込まれていたりして、いつも感心させられます。
2001年頃から、ガンダムではUCのあたりからそうした仕事をされているようです。
最近だと閃光のハサウェイでも「モニターワークス」と言うところに名前が出ています。
とまぁそんなわけで、実は映画館で見たときは情報量が多すぎたのか、良いとも悪いとも言えないような頭が整理されていない状態でしたが、何度も見るうちに気に入りました。
とりあえず、森口博子さんの「Ubugoe」買いました。
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