映画等感想 機動戦士ガンダム00

機動戦士ガンダムシリーズはいわゆるファーストガンダムと呼ばれる、アムロとシャアが出てくる最初のTV版ガンダムの世界観を引き継ぐ「宇宙世紀物」と呼ばれるシリーズと、それらとは世界観を異にする、ファンの間で「アナザーガンダム」と呼ばれているシリーズ群がある。

宇宙世紀物はメインストリームとなる作品だけでも「機動戦士ガンダム」その7年後を描いた「機動戦士Ζガンダム」「機動戦士ガンダムΖΖ」更に6年後を描いた劇場版「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」など多くの作品があり、これよりも前の時代、後の時代を描いた作品やそれぞれの時代のサイドストーリー、更にそれらの作品の間の時代を描いた作品など、映像作品以外にも小説、漫画も含めれば、本当に無数の作品がある。

その分、設定がどんどんと厚みを増していき、ガンダムファンにとって宇宙世紀(作品中で使われる年号、及びその年号が使われている時代)は未来でありながら予定された歴史であるかのように捉えられている。

なので、ファーストからのファンである私は基本的には宇宙世紀物が好き。


一方「アナザーガンダム」は、多くの場合その一作品で世界観が閉じており、明確に連続性を持っていることは少ない。
(一部の作品は宇宙世紀の遥か未来とされているものもある。更にいうと、松本零士作品のように、実はすべての作品の世界観はつながっているんだよと示唆する作品もあるが、他の作品がストーリーに直接的に関わることは稀。)

なので、宇宙世紀支持者からすると、それぞれ単品のガンダムのようなものとも映る。

しかし、宇宙世紀至上主義者の私でも一目置く作品が「機動戦士ガンダム00」だ。

機動戦士ガンダム00 1st&2nd season Blu-ray BOX (特典なし) - 矢立肇, 富野由悠季, 水島精二, 黒田洋介, 高河ゆん, 千葉道徳, 宮野真守, 三木眞一郎, 吉野裕行, 神谷浩史
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劇場版 機動戦士ガンダムOO ―A wakening of the Trailblazer― [Blu-ray] - 宮野真守, 三木眞一郎, 吉野裕行, 神谷浩史, 勝地涼, 水島精二
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2007年の10月から翌年3月までの半年に25話がファーストシーズンとして放送され、半年空けてセカンドシーズン25話が放送された。
そして、2010年に劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-が上映され完結した。

このシリーズはガンダムシリーズで唯一西暦の世界で、ファーストシーズンは西暦2307年(放映の300年後)から始まる。

主人公たちはソレスタル・ビーイングという小さな組織に属し、2307年としてはずば抜けた性能を持つガンダム4機で「戦争根絶のための戦い」という矛盾を孕んだ活動を始める。
しかし、この戦いの準備は200年以上も前から進められていた。
天才的科学者イオリア・シュヘンベルグはエネルギー問題を解決し、人類が宇宙で活動していく上での基礎理論や、ガンダムの動力に関する理論を打ち立て、更に、人類を一つにする計画を慎重に練っていたのだ。

その計画は多くの人の思惑を交わらせ、多くの人生を巻き込んで、武力介入の開始からどうにか数年をかけて人類を一つにする方向へと大きく踏み出すところでTVシリーズは終わる。
そして、映画版ではこれまたガンダムシリーズでは異色の、地球外知性体との接触、戦闘が勃発する。

しかし主人公たちは戦うことではなく地球外知性体と分かり合うことで戦闘を終結させ、期せずして地球人類はその半数が宇宙世紀物で言うニュータイプ(00の世界観ではイノベイター)へとなっていく。

ここで言うニュータイプとは、戦闘能力が高いという意味のニュータイプではなく、誤解なく意思を疎通し合える存在となったのだ。

そして、映画の最後のシーンは、やっとガンダムやソレスタル・ビーイングのような存在が必要ない世界が来た事を表していると私は解釈している。


物語の最初でこそ、ガンダムの武力による強制的な戦争、紛争の停止を目指していた主人公たちだったが、やがて、分かり合うことでの平和を求めるようになっていく。

宇宙世紀物のガンダム作品はもちろん、ほとんどのガンダム作品で、「分かり合う」ということはテーマになっている。
例えば、ファーストガンダムで言えば、シャアとセイラ、アムロとララァのように、兄妹が、想い合う者同士が敵味方に別れているというシチュエーションは多くのガンダム作品で見られ、その状況を通じて、立場が違っても分かり合えることを願うことがストーリーの一本の軸となっている。

ガンダム00はこの「分かり合う」というテーマを最も前面に、そして分かりやすく描いていると思う。
主題歌の歌詞にもこれが反映されており、

機動戦士ガンダム00 10th ANNIVERSARY BEST(期間生産限定盤) - ヴァリアス
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うっかりこんなものを買って聴いてしまったものだから、それ以来00の世界観について考えてしまい、ついに上記のブルーレイを買ってしまったのだ。

現実世界を顧みるとまさに今は様々な問題があり、人々はギスギスとし、思想的な分断は世界的にも広がっているように思う。
ガンダム00の主人公たち、ひいてはイオリア・シュヘンベルグが望んだような平和な世界になるにはどうしたら良いのだろうか。
ついついそんなことを考えてしまう。

仮に現実の人類の殆どがイノベーターやニュータイプになれたとして、それで思想的な分断は避けられるのだろうか。

世の中には様々な考えを持った人たちがいて、多様性という意味ではそれは尊重すべきかもしれない。
しかし、人は正しい、正しくないの前に自分にとって心地よい考え方を取り入れてしまいがちだ。
そういう人たちがテレパシーのような能力を身に着けたとして分かり合えるのだろうか。

自分にとって心地よくない考え方、少なくとも自分から見たら偏ったと思える考えを持った人の想いが自分に入ってきたら平和になるだろうか。
むしろ分断を生むのではないか。
それって、今のSNSじゃないとか思ってしまう。

そう、表層的な考えだけではだめで、もっとその前提となるところから分かり合えなけれいけない。

果たして現実の我々が一つになるにはどうすれば良いのか。
そんなことを堂々巡りで考えてしまう。
それがこの作品。

そして、平和への強い祈りを感じる作品。

今だからこそぜひ見てほしいガンダムと言えるかもしれない。

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