読書感想(鍋猫スターハウス)
「くるくる自転車ライフ」で存在を知り、「かわうその自転車屋さん」でファンになったこやまけいこさんの最新作。

鍋猫スターハウス (Flowersコミックス)
勤めていた会社がつぶれた41歳独身女性ふたば。
今後の事をどうするかも考えられない状態で郊外の古い団地に引っ越した。
しかし、その部屋には猫の妖怪が住みついていた。
それだけではない、すべての部屋で妖怪と人間が仲良く暮らしていた。
とんでもないところに来てしまったと思ったふたばだったが、妖怪や住民達と接していくうちにその想いは変わっていく。
ジブリの「平成狸合戦ぽんぽこ」を思わせるような設定やシーンも有るが、あちらはコミカルに描かれてはいるものの、狸の生き残りをかけた戦いの物語で有ったのに対して、こちらは人間の住民たちは妖怪の存在を認めており、共存している。
「かわうその自転車屋さん」で、作者の意図であったかは別として、さまざまな種類の動物が大きいものも小さいものも、肉食も草食も仲良く暮らす「多様性」の究極の姿を描いたことと似ており、読んでいてとても心が安らぐ。
主人公ふたばの部屋に居た妖怪はぶんぶく茶釜の猫版のような、土鍋と猫が合体した姿をしている。
その土鍋の扱い方、土鍋での料理が幾つか物語中で紹介されており、「かわうその自転車屋さん」でも時折食べ物ネタが出てくるように、「ああ、こやまさんらしいな」と思わせる。
ふたばが引っ越してきた当初、荷物を片付けられなかったことを「知り合いの漫画家は半年間とりあえず置いていたよ(片付けなかったよ)」と言い訳しているが、「あ、これ、『くるくる自転車ライフ』に有ったこやまさん本人のエピソードだ、、」と思って、クスッとしたのだが、「くるくる自転車ライフ」を読み返すと、25ページにそれらしい描写は有ったが、半年間とは書いていなかった、、、
でも、こやまさんの事なんだろうなw
そして、そうこうしているうちにふたばはここでの自分の立ち位置を見つけていく。
自分が住んでいる棟の取り壊しの噂も聞こえてくる中、自分はこの団地を愛しているのだと気付く。
読んでいるこちらも、この団地と、人と妖怪の素敵なコミュニティがずっと続けばいいのに、いや、むしろ私もここに住みたいとさえ思わせてくれる。
本を閉じた後、ほんわかととても優しい気持ちになった。
主人公ふたばのように人生の目的等を見失った人も、これを読めば何か立ち直るきっかけを得られるかもしれない。
こやまけいこさん、また素敵な作品をありがとう。
この一巻で完結らしい。
このままほんわかと終わってほしいと思いつつも、1年くらいしたら「団地のみんなどうしてるかな。」なんて思っちゃうかもね。

くるくる自転車ライフ

かわうその自転車屋さん コミック 1-7巻セット

鍋猫スターハウス (Flowersコミックス)
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勤めていた会社がつぶれた41歳独身女性ふたば。
今後の事をどうするかも考えられない状態で郊外の古い団地に引っ越した。
しかし、その部屋には猫の妖怪が住みついていた。
それだけではない、すべての部屋で妖怪と人間が仲良く暮らしていた。
とんでもないところに来てしまったと思ったふたばだったが、妖怪や住民達と接していくうちにその想いは変わっていく。
ジブリの「平成狸合戦ぽんぽこ」を思わせるような設定やシーンも有るが、あちらはコミカルに描かれてはいるものの、狸の生き残りをかけた戦いの物語で有ったのに対して、こちらは人間の住民たちは妖怪の存在を認めており、共存している。
「かわうその自転車屋さん」で、作者の意図であったかは別として、さまざまな種類の動物が大きいものも小さいものも、肉食も草食も仲良く暮らす「多様性」の究極の姿を描いたことと似ており、読んでいてとても心が安らぐ。
主人公ふたばの部屋に居た妖怪はぶんぶく茶釜の猫版のような、土鍋と猫が合体した姿をしている。
その土鍋の扱い方、土鍋での料理が幾つか物語中で紹介されており、「かわうその自転車屋さん」でも時折食べ物ネタが出てくるように、「ああ、こやまさんらしいな」と思わせる。
ふたばが引っ越してきた当初、荷物を片付けられなかったことを「知り合いの漫画家は半年間とりあえず置いていたよ(片付けなかったよ)」と言い訳しているが、「あ、これ、『くるくる自転車ライフ』に有ったこやまさん本人のエピソードだ、、」と思って、クスッとしたのだが、「くるくる自転車ライフ」を読み返すと、25ページにそれらしい描写は有ったが、半年間とは書いていなかった、、、
でも、こやまさんの事なんだろうなw
そして、そうこうしているうちにふたばはここでの自分の立ち位置を見つけていく。
自分が住んでいる棟の取り壊しの噂も聞こえてくる中、自分はこの団地を愛しているのだと気付く。
読んでいるこちらも、この団地と、人と妖怪の素敵なコミュニティがずっと続けばいいのに、いや、むしろ私もここに住みたいとさえ思わせてくれる。
本を閉じた後、ほんわかととても優しい気持ちになった。
主人公ふたばのように人生の目的等を見失った人も、これを読めば何か立ち直るきっかけを得られるかもしれない。
こやまけいこさん、また素敵な作品をありがとう。
この一巻で完結らしい。
このままほんわかと終わってほしいと思いつつも、1年くらいしたら「団地のみんなどうしてるかな。」なんて思っちゃうかもね。

くるくる自転車ライフ

かわうその自転車屋さん コミック 1-7巻セット

鍋猫スターハウス (Flowersコミックス)

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